「セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ、春の七草。」
なんて、言われていますが、
「こんな雪で、そんな草が生えてるわけない!」
と北国の方なら思うのではないでしょうか?
でも実は昔は、「七種粥」だったって知っています?
そして、けの汁との意外な共通点も!
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食と命のシステムを最大限に活かす料理術、
つぶつぶ雑穀料理を青森県弘前市で伝えています。
雑穀と野菜で作る家庭料理教室
たきさんちの高杉多希です。
訪問してくれてありがとうございます。
お正月が幾日か過ぎると、
スーパーの店頭には「春の七草セット」なるものがお目見えしますね。
でも、外を見ると一面の雪…。
「結局は京都の行事か…」
と昔は思っていたのですが、
複雑な理由が絡み合ってたみたいです。
まず、正月、というのが、
今では太陽暦の1月1日ですが、
昔は太陰暦、旧暦の1月1日から。
ちなみに、今年は新暦の2月12日だそうです。
旧暦の1月7日だと、
新暦の2月18日ですから、
北国ではまだまだ雪深い時期ですが、
京都だったら草が生えてそう!!
もともとは中国の行事で、
1月7日の「人日(じんじつ)」に、
無病息災を願って七種の草が入った煮物を食べたものだそう。
また、この日は官吏の異動発表の日でもあったそうで、
立身出世を願ったそうです。
だから、発表前の朝に食べるようになったのでは、とのこと。
で、調べていたら、いろんな方が、
「実は、七草粥ではなくて元々は七種粥」
と書いてる記事を見つけました。
しかし、こちらはどうやら、
小正月の1月15日に食べるもの、
という設定らしいです。
小正月には、
正月飾りを焼く「どんど焼き」や、
餅花を飾り五穀豊穣を祈る行事があります。
その時に食べるのが、この七種粥。
そして、七種とは、
米、アワ、キビ、ヒエ、胡麻、小豆と、
葟子(みの)という田んぼに生えるタムギの種だとか。
「みの」というのは今では、食用として見る事はないですね。
これらをお粥に煮て食べるそう。
小豆粥だなんて、いかにも体のデトックス効果がありそうです。
タムギの代わりに、押し麦でも良いかもしれませんね。
私は知りませんでしたが、
全国に今でも小正月に小豆粥を食べる風習があるそうです。
なので、どこからか、
「一月七日に食べる七つの草を入れた煮物」と、
「一月十五日に食べる七つの種を入れたお粥」が混じって、
「一月七日には、七つの草のお粥」になったんでしょうね。
ところで、
津軽では「けの汁」というものを、
小正月に食べるという風習があります。
この「け」というのは「粥」のことだとか。
昨年亡くなった旦那の祖母が作る「けの汁」が、
とっても美味しかったのです。
干したぜんまい、塩漬けのワラビ、塩漬けのフキ、
高野豆腐、ゴボウ、ニンジン、油揚げ、昆布、
を細かく刻んで煮込み、
そこに「ズンダ(ズダ)」と呼ばれる、
砕いた生の大豆を入れて、
どろどろに煮込んで完成です。
その祖母曰く、
「とにかく七色(七種類)あればいんだ(良いんだ)」とのこと。
つまり、けの汁は、
七種粥が元にあったのではないでしょうか?
けれど、昔は、
さまざまな雑穀を手に入れるよりも、
山菜などの方が手に入りやすかったのでは…
しかし、
ゼンマイは食べるのにとても手間がかかります。
そして、昔は塩が今よりも貴重だったことでしょう。
なので、山菜をたくさん手に入れるのも、
大変だったと思います。
それに津軽は、大きな平野なので、
稲作には適していると思うのですが、
雑穀は主に山間部で栽培していたとか。
七種を用意するのは、難しかったのでは…
けれど、
天明の大飢饉では死者10万人を超えたとも聞くので、
もしかしたら、
その頃に米などがなくて、けの汁が生まれたのかしら…
なんて想像してしまいました。
だとしたら、悲しい歴史ですね。
あくまで、想像ですけれども。
昭和9年生まれの祖母の話だと、
「昔の正月は、正月料理とかお節なんてなくて、
煮しめを食べて終わりだったよ」
とのことだったので、
今のように「お腹を休めるために七草粥」とか、
「正月の労をねぎらうための七種粥」ということではなく、
小正月=初めての満月を祝うごちそうだったのかな。
今よりも、
百万遍とか十六夜塚とか、
そういった月への信仰も厚い時代もあったでしょうし、
そういうのは主に女性の行事でもありましたし、
小正月も女性のための行事ともいわれますし、
本当の歴史というのは、
もっとハッキリしない、
ぼんやりとしたものなのかもしれませんね。
結論のない話になりますが、
七草粥は、七草入りの煮物が転じたもの、
七種粥は、小正月に食べる厄除け、
けの汁は、小正月に食べるごちそう。
そんな感じだと思います。
今年は自分でけの汁を作ってみようかな。
今日の晩ご飯↓
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